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| ◆光崎検校と山田検校 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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前回の「谷珠美《筝》レクチャーコンサート」は、『筝曲の今・昔・物語』と題して、近世筝曲の開祖と呼ばれる八橋検校(江戸時代初期の筝曲演奏家で歌唱曲として知られる「組歌」や器楽曲の「段物」を確立)以降、当道(とうど)という目に障害を持つ人たちの組織に属する音楽家たちによって専門的に創作・伝承・教習がなされ、また音楽家たちの鋭敏な感性や感覚によって繊細な表現法や精緻な合奏法が追及されるなど、時代の流れの中で常に新しい道を見出しながら高度な発展を遂げてきたという筝曲の歴史を辿ってみました。 元禄の頃、関西では生田流が繁栄をみせ、地歌三味線と筝の合奏が行われ、しばらくはこの二つの楽器はユニゾンまたはオクターブに近い旋律で演奏されていました。やがて幕末の頃になると、開祖八橋検校の時代のような、三絃(三味線)の束縛を受けない「純筝曲」を再び目指す運動が興ります。その先駆者となったのが光崎検校(生年不明〜1853年)です。 一方、江戸時代後期(文化・文政の頃)、関西での生田流の繁栄に対して、東日本でもこれをはじめようと山田検校(1757年〜1817年)により、当時、江戸に流行していた浄瑠璃三味線曲の一中節、河東節、富本節などの様式をとり入れて、新しい《語り物》的な筝主奏の歌曲などが作られ、山田流の筝曲として主に関東を中心にして流行していきます。 そこで今回は、そうした江戸後期に活躍した光崎検校と山田検校の代表作を取り上げることにしました。趣の違うお二人の作品をお楽しみください。 |
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| ◆作曲者と楽曲メモ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 光崎検校(みつざき けんぎょう) 筝曲復興運動の先駆者 |
| 生年不明〜1853年。都名(いちな :
当道座に属する盲人が名乗った名前)は浪の一(のちに冨機一)。幕末になると、本居宣長らの国学の影響による復古精神の浸透によって、箏曲も元禄期、生田検校の頃より地歌と結びついて歩んできたものの、三味線優位であることから、ふたたび八橋検校時代の箏本来のあり方に立ちもどろうという純箏曲復興の動きがあらわれた。その先駆者が光崎検校である。当時としては画期的な箏のみの高低二部合奏の純器楽曲『五段砧』や独特の調絃を用い、『六段』と同じ拍子数の前奏をつけた『秋風の曲』を作曲。そこには単なる復古ではなく、新鮮な感覚と創意がきらめいている。光崎は従来にない精密な楽譜である(三味線組歌および地歌端唄の楽譜)『絃曲大榛抄(げんきょくたいしんしょう)』(1828年刊)の校閲を行い、箏曲復古主義的作品『秋風の曲』を『箏曲秘譜』(1837年刊)として刊行した。このような光崎の行動が保守的な当道職屋敷の反感をまねき、追放処分を受け晩年は不遇だったとも伝えられているが明らかではない。 芸系からして当然、京流手事物を出発点とし『桜川』『千代の鶯』『三津山』『七小町』『夜々の星』などの名曲(原曲三味線)を作っている。 |
| 演奏曲:「秋風の曲」「五段砧(きぬた)」 |
| 山田検校(やまだ けんぎょう) 江戸を舞台に歌中心の語り物風筝曲を作曲 |
| 都名は斗養一。号は勝善・幽樵。1757年〜1817年。山田流箏曲の創始者、尾張藩の宝生流の能楽師であったともいわれる三田了任の子として江戸に生まれた。長谷富(はせとみ)検校に師事し医者でもあった山田松黒《筝組歌(ことくみうた)の楽譜集「筝曲大意抄(そうきょくたいいしょう)」の著者》に師事し、30歳前には母方の姓でもあった山田を名のり、検校になったと推定され、寛政・享和(1789年〜1804年)頃、在来の生田流を圧倒して一大勢力を築くに至った。美声の持ち主でその人気のありさまは、式亭三馬の滑稽本『浮世風呂』にも描かれている。楽器も音量増大のため改良し、楽曲にふさわしく爪も丸く厚めにした。『山田の穂並』(1800年刊)、『吾嬬箏譜(あずまことうた)』(1809年刊)という歌本、楽譜を出版し、それらに掲載されている曲に、組歌『初音の曲』を加えた36曲が、山田検校の全作品と考えられている。とくに『小督(こごう)の曲』『熊野(ゆや)』『長恨歌(ちょうごんか)の曲』『葵の上』は、山田流の奥許(おくゆるし)の「四つ物」とされ、劇的内容のある大曲である。処女作『江の島の曲』や『那須野』『桜狩』『ほととぎす』など、曲風が多彩である。 |
| 演奏曲:「ほととぎす」「熊野 (ゆや)」 |
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